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「ありがとう」の魔法

「ありがとう」は魔法だ。

どんな心も溶かしてしまう。

かたくなな心、すさんだ心、凍った心、傷ついた心、心の雪をすべて溶かしてしまう。

太陽のような言葉。

雪が溶けた後には草が芽吹き、花が咲く。

その人本来の素晴らしさが姿を現す。優しさがよみがえる。

言った本人も、言われた相手も、花が咲く。本当にそうだ。

『古今和歌集』の仮名序では、紀貫之さんが言葉の力を感動的に説いている。

しかし、言葉の持つ力というものを、これ程までに放つ不思議な魔法はないだろう。

どんなに小さなこと、ささいなことでもいい、チャンスをとらえたら、すかさず、ためらわず、照れずに堂々と、思い切り、心を込めて、「ありがとう」と言いたい。

後から「言っておけばよかった」と絶対後悔したくない。

シンプルなのに、自分の人生も、相手の人生も変え得る言葉、「ありがとう」。

「ありがとう、お父さん」

「ありがとう、お母さん」

「ありがとう」

 

平史樹

 

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