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意味を求めるわたしたち

「意味ない!」というパワーワード。

子どもも大人も、とことん行き詰った時の殺し文句だ。もう、何度も聞いてきた。

勉強の行き詰まり、恋愛の行き詰まり、仕事の行き詰まり、家族関係の行き詰まり、病気の行き詰まり、人生の行き詰まり。

努力して努力して、必死で意味ある何かを求めて来た結果、努力が思い通りの結果を出さないと絶望した時、人は叫びたくなる。「もう、意味ない!」

顔を真っ赤にして、涙をポタポタ床に落として、拳を握り締め、うつ伏せて、そう叫ばれると、わたしも絶望の渦の中にいる。

一緒に、重くて苦しい、胸が張り裂ける思いを分かち合った。

でも、わたしは心の中で、いつも同じくらい、それ以上に強い叫びがこだましている。

「意味は、あるよ」

そういう確信が、わたしの中には夜明けの日差しのようにある。そしてそれが、わたしを支えて来た。絶望を溶かして来た。

先達は言う。「人は、意味の世界に生きている」(アドラー 平の意訳)

意味を失い死のうとした人たちを見てきて、本当にそうだと思う。

ならば、どんなことがあっても、ポジティブな意味に変換できる心の工夫が必要だ。

あれこれ考えることは役に立たない。心を見つめても闇が深くなるばかりだ。

つらい時、「きっとこれには素晴らしい意味があるんだ」「これから絶対に良くなるんだ」

そんな風に、自分に何度も言って聞かせる。暗い森を背に、朝日に向かうように。

絶望の雲が湧いても湧いても、それを意味ある言葉と前向きな心で消して行く。

絶望の時に、前向きな心なんて出ないと思うかも知れない。そんな時は、泣きながら搾り出すように前向きな心は出すものなのだ。使い切った歯磨き粉をなおもしごいてチューブから搾り出すように。

そうすると、いっとき無意味のブラックホールに吸い込まれても、意味のあるホワイトホールからスパーンと生まれ出ることができる。

日頃から不安が多い人も、自分に言って聞かせたら良い。わたしは毎日自分に言って聞かせている。そうでないとわたしも容易に闇の世界に堕ちてしまう。

古人(いにしえびと)は、沢山の素晴らしい言葉を残している。

自分の精神が奮い立つ、自分の人生に意味の力を与える言葉を探してみよう。

わたしが一番長く、自分に言って聞かせ続けている言葉はこれだ。

「憂(う)きことの なおこの上に 積もれかし 限りある身の 力ためさん」

つらいことだって、来るなら来い!どこまで行けるか、試そうじゃないか。そんな内容だ。

小学5年生の時に、担任の先生が教えてくれた和歌だ。戦国武将の歌だと聞いた。

右に揺れ、左に揺れる心を、コントロールする力。

自分の機嫌を、自分で取る力。

それが学問の力だと思う。

人生に意味を与え続けるために、生き続けるために、学問は必要な栄養だ。

 

平史樹

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