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悩み

「許せない」ことこそ「許す」のだ

幼い頃や若い頃に心の傷を負って、傷ついたままの人の多さに驚きます。

そんなかたの思い出話は、時として永遠に続くかのように何度も何度も繰り返されます。

「小さい頃、こんなひどい目にあった」

「学校で、こんなむごい仕打ちを受けた」

自分は虐待されていたんだ!と憤る男性が、毎日のように母親を責める例がありました。彼は、言葉も話せない幼い頃のつらい出来事をよく覚えていて、小学生の頃から五十歳近くなるまで事あるごとに母親を言葉でなじり、罵倒していました。

ある日、夜遅くまで執拗に責めさいなまれた母親が、涙混じりに「じゃあ、お母さんは一生ゆるされないの?」とつぶやきました。「当たり前だ!」男性は吐き捨てました。

ただ、母親の言葉は、男性の胸に残りました。もう若くはないと自覚していた男性。体力も衰え、世話になっていた身近な人の死が重なり、自分の人生についてよく考えるようになっていました。

一生母を責め続ける人生は嫌だ。男性は思うようになりました。今では彼は母親を許す努力をするようになりました。ついカッとなって、どなってしまっても、すぐに気持ちを切り替えて、責め続けることはなくなりました。男性は母親を愛している自分に気がつきました。

そして、これまで出会って愛していた人のことも思い出しました。何か行き違いすれ違いトラブルがあると、男性はとたんに相手を許せなくなってしまう癖がありました。許していれば、愛する人を失わずにいたかも知れないと気づきました。

彼の人生は変りました。許すことを知って、愛することを貫けるようになりました。

彼は、もういつ死んでも悔やまない。そう言って今は人を愛することに専念しています。自分自身の傷も癒えていくようです。

よかった。

平史樹