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カウンセリング

雑談カウンセリング、増えています。

「これと言って問題は無い・・・」
「テーマと言っても思いつかない・・・」
それでも、カウンセリングを受けたい。
あるいは、「問題は解決したけど、引き続き月1回カウンセリングを受けたい」というようなかたもいます。

「ただ、話を聞いてほしい」「自由に話したい」というご要望が、ここ数年増えて来ました。
確かに、「問題解決」が、カウンセリングでは最もよく求められることです。
ただ、改めてカウンセリングの本質を考えると、それは対人援助、対人支援のひとつだと思います。利用者さんの要望に合わせて、毎回柔軟に行っています。

カウンセラーは、言ってみれば心理面を専門とする人生のサポーターです。
必要な時にあなたの心の支えとなったり、あなたの人生に寄り添う存在です。
それはかつては、家族や友人、恋人や職場仲間で充分だったのかも知れません。
しかし今では、そこで満たされ切れないものを補う存在として、カウンセラーが頼られるようになりつつあると思います。

わたしがカウンセラーとして、近年一番感じるのは、話しているかたの孤独です。
たとえ家族や友人に囲まれ、職場の仲間や恋人と頻繁に連絡を取り合っていても、「誰にも話せないこと」を持つ人は多いです。
世の中の変化が激しく、家族でさえ噛み合わない。
親と子、教師と生徒、上司と部下といった縦の関係だけでなく、友人同士、恋人同士といった横の関係ですら同じ価値観を共有しづらい。
もともと同調圧力が強いこの国の文化では、本音が出しづらい。
そんな生きづらさの中、カウンセリングは人間関係を気にせずのびのびと話せて自分を出せる、シェルターや居場所になっています。

カウンセリングの利用者さんは、10代から80代までいらっしゃいますが、どの世代を通しても雑談スタイルは好まれています。自分の内面と厳しく向き合うものではないので、変化はゆっくりです。積極的に成長しようというよりは、癒やしの要素が強い。問題解決を求めるかたがなるべく短期間で終了されたがる傾向があるのに比べ、雑談型は継続してゆっくり受けるかたが多いです。

カウンセラーはあなたの話を聞きますが、一番あなたの話に耳を傾けているのは、実はあなた自身かも知れないなとよく思います。
人は自分のことを、意外と知りません。
カウンセラーに話すことで、あなたは自分自身のことを、これまでより少し深く知って行きます。
「あ、私の中にこんな気持ちがあったんだ・・・」とか、
「そうだ、これが僕が求めていることかも・・・」というように。
カウンセラーは、ただ頷いて聞いているだけではありません。理解できないことは、聞き流さずに質問します。
すると、それに答えるあなたは、これまでとは違う視点から自分の理解を深めるのでしょう。
話すことで、閉じ込め溜め続けて来た感情も、ゆっくり解放されて行きます。
そんなカウンセリングを通して、次第に自信がついて行く姿、自己肯定感が少しずつ育って、生きる力が増して行く姿を見てきました。

独り身になってから、家に引きこもりがちになっていた80代のかたがいます。必要最低限の移動しかせず、何年も町から出ないで過ごしていました。そのかたは1年ほどかけてゆっくり雑談するうち、電車に乗ってかつての友人に会いに行くようになりました。

テーマや問題を決めずに、話したいことを話す。
雑談なのに、単なる雑談には終わらずに発展し、話が深まって行く。自分のことがわかって来る。元気ややる気が湧いて来る。気持ちがスッキリしたりほっとする。やりたいことが見つかる。支え続けることで、ゆっくりと自立に向かって行く。

マイペースで、無理なく自分と向き合えるカウンセリングのスタイルが、雑談カウンセリングではないかと思います。

心理カウンセラー 平史樹

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