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カウンセリング

不寛容と孤独

「許せない」と思う心は誰にでもあると思います。

「許せない」すなわち不寛容の程度は、個人によって様々です。

今回は、不寛容があなたの孤独を生んでいるかも知れないというお話です。

あるレストランに入って、お酒を飲むうちに時間を忘れて盛り上がる。閉店時間をしばらく過ぎてから店員にすまなそうに閉店を告げられる。笑顔で店を出る。滅多に見つからないほど美味くて何年もひいきにしている店だが気分を害した。「もう2度とここには来ない」と心に決める。

デートをする度に、相手の欠点を見つけてしまう。時間にルーズ(5分遅れたのに謝らない)、身だしなみにルーズ(シャツにシミがある)、お金にもルーズ(割り勘する時計算が大雑把)。今日は爪の不潔さに気づいてしまった(割れてる)。仕事熱心で温かい人柄、一緒にいて楽しい。何年もつき合って結婚も考えたけど、「もう、こちらから連絡とるのはやめよう。会うのもやめよう」と心に決める。

どこで線を引くかはその人次第なのですが、相手に気持ちを伝えずひそかに決別を心に決める方法は、自分一人で納得して穏やかに友人知人を減らしていく方法と言えるかもしれません。優しく静かな不寛容です。

そんな人が、孤独を訴え、孤立に悩むとき、ご自身の不寛容の癖、人をちょっとしたことで許せなくなったり、裁いてしまう癖はないか、振り返って点検してみると良いかも知れません。

こんな不寛容は、無自覚的な癖だったりします。親の価値観を、そのまま引き継ぎ内面化していることもあるでしょう。

ちょっと意識して、「自分に危害を加えているわけではない」「当人に悪気はない」「あんな良いところもある」「こんなにお世話になって来た」などと、一息入れて客観的に再検討する習慣を始めると、眠っている寛容性が目覚め、もっとスムーズに人を受け容れられるようになり、自分で自分を孤独にしてしまう不寛容の装置が働き過ぎないようになると思います。

心理カウンセラー 平史樹

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