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身内から「あなたはおかしい」と言われたら
「どうしてこのかたは、カウンセリングを受けに来られたのかな?」
と思うことがあります。ご本人は、自分の悩みはこれだから、ぜひどうにかしたい、何とかしたいと言ってカウンセリングを受けに来ているのですが、話を聞いてみると、わたしの中でどうも何となくしっくり来ないようなことがあるのです。
「このかたは、本当に困っているのかな・・・?」と違和感を感じつつもさらに話を聞いて行くと、実は家族に勧められて来た。パートナーに行くように言われたから来た。というようなことがあります。
実際に困っていたのは、むしろ家族やパートナーの方だったという例です。
家族やパートナーを困らせてしまった。苦しめてしまった。その挙句・・・
「お前、もしかして、変なんじゃないか?」
「あなた、病気ってことないかしら?」
そう家族やパートナーに言われて来た人がかえって健常で、カウンセリングを勧めた人が実は精神疾患などを持っていたということもあります。
健常者にとって普通のことでも、心や体を患っているかたにとっては想像以上に苦痛だったり受け容れがたいこともありますから、知らず知らずの内に苦しめてしまっていることもあります。ですからそのこと自体を単純に非難することはできません。
ただ、言われたことを真に受けて、健常なのに自分は病んでいるのだと深刻に思い込んでしまうと、そのうち本当に病んでしまいかねません。
そんなかたは、どちらかというと素直で優しいかたが多いのではないかと思いますが、その分、人の影響を受けやすいとも言えます。
人から言われたことを真に受けて「病人」になってしまう前に、「あなたは精神疾患かもしれない」と言われた指摘を客観的に検討すること。常識に即して振り返り、考えてみることが大切です。
もしかしたら相手の方が精神疾患を発症していないにしても精神病的な質を持っていて、それゆえにあなたとの関わりに悩み、傷つき、その苦しみを解決したいがためにあなたにカウンセリングを勧めたのかも知れません。
こんな時に大事だと思うのは、「病人さがし」(病んでいるのは誰だ?)や「犯人さがし」(悪いのは誰だ?)ではありません。身内同士の出来事であれば、お互いに困っているので、どちらか一方を病人や犯人に仕立ててケアしたり、あるいは糾弾しても問題は解決しないでしょう。
ひとつの方法として、当事者同士同席して行う家族カウンセリングやカップルカウンセリングが、こんな時に役立つこともあります。困りごとを誰かのせいにせず、関わり合う者皆で改善したり解決して行く場になります。
心理カウンセラー 平史樹