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家庭の中だけで抱えないで
私たちは、外ではお行儀よくすることを躾けられていることが多いせいか、一歩家庭に入ると、逆に世間では許されないようなことがまかり通ってしまっていることが時々見られます。
例えば・・・会社では忠実、勤勉で、ご近所の評判も良い優しい旦那さんが、自宅では何かの拍子にカッとなると、食器を叩き割る。家具を思い切り殴る。どうしたの!?と驚いて聞くと、どうやら仕事のストレスらしい。
奥さんは困惑するが、家(うち)のことだから人様には恥ずかしくて言えないと、あたかも自分も共犯者のように夫をかばい、ひとり悶々と抱え込んでしまう。
奥さんが実家のお母さんに相談しても、「あんたがしっかりしてないからいけない」「そんなことはどこにだってある」と的外れな説教をされる。
こうして、奥さんやお子さんのストレスはたまり続け、心の傷は深まり、旦那さんも自分のやっていることがDV(家庭内暴力)だとも知らずに、それを常態化させてしまう。
このようなことで、ご相談に来られることは稀です。
実際には、お子さんが不登校になったり、拒食症になって相談に来られ、よくよくお話を伺っているうちに、このような背景が明らかになることがあるのです。あるいは奥さんが脱毛症に悩んだり、旦那さんが不眠症になってから相談に来て、家庭内の異常事態が発覚したりします。
旦那さんは食器を叩き割った時点で、既に心理療法が必要なレベルですし、その場にいた奥さんやお子さんにもケアが必要です。
心のケアを甘く見て、問題が起きた時に家庭内だけで抱え込むのは止めましょう。
こらえにこらえたのち、例えば旦那さんがうつ病、奥さんがアルコール使用障害(依存症)、お子さんが神経性やせ症(拒食症)等になってから、ようやくカウンセリングを始めても、ひとりひとりの回復や社会復帰、家族関係の修復などには長い時間もかかり、病院に通って薬物療法が必要ならば、経済的な負担も大きくなります。
ご家庭の中で、これはおかしいな。自分では対処しきれないな。対処してみたけど解決にならないな。というような時には、ためらわずにお気軽にご相談ください。
心理カウンセラー 平史樹