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「強い人」の「不眠」
「不眠」の原因にも色々ありますが、心因性のものとなると、よく聞かれるのは「不安」で眠れないという訴えです。
「不安」を感じ、それを口に出して言えるのは、わたしは素晴らしいことだと思います。不安ならば、その不安を払しょくさせるために、思いを話して感情を解放したり、これからどう行動して行けば不安がなくなっていくのか検討できます。カウンセリングでもよく取り組むことです。
しかし、中には「不眠」を訴えつつも、「不安」は感じないというかたもいます。
もちろん、「不眠」の理由は「不安」だけとは限りません。他に身体的にも心理的にも、社会的にも実存的にも様々な原因が考えられます。
ただもしあなたが今「不眠」で「不安」については心当たりがないならば、もしかするとひとつの可能性として、あなたが「強い人」だからかも知れません。
ここで言う「強い人」とは、悲しみや怒り、不安などを、普段はあまり感じたり表には出さずに生活している人です。ご自分ではそんなことはないと思っても、周囲からは強いと思われていませんか?
明るくて前向きで積極的で行動的、頼りがいがあって周囲には慕われ、責任感もある。そんなかたのなかに「強い人」は比較的多く見かけるように思います。
言わば、カウンセリングとは無縁で、むしろそんなかたは日ごろ家族や仕事の同僚や部下、友だちや恋人からの相談をよく聞いてあげている場合も多いです。
自分にはカウンセリングなんて必要ない。
そんなかたでも、眠れなければ困る。医師の診断を受けて睡眠薬を飲む。それでも眠れないという時に、勧められてカウンセリングを受ける。
そんな時には、そのかたが、悲しみや怒り、不安などの感情を悪しきものとして忌避していないか、特に留意します。
誰でも悲しみや怒り、不安はネガティブな感情として扱いがちです。また、それらの感情を「恥ずかしいもの」「出してはいけないもの」と捉えているかたも多くいます。
しかし、悲しみや怒り、不安も、実は私たちが健康的に生きて行く上では必要な感情です。
そのことに気づけずに、これらを押し込め蓋をし続けたがゆえに素直な感情が充分に表現できず、身体症状が表れてしまうことがあると思います。
どのような感情にも価値があり、無視し続けることは出来ないように思います。
心理カウンセラー 平史樹