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「かけこみ掲示板」 うつ病と診断されました。
星野鉄郎さん 二十代 ♂
相談内容
以前にも書き込んだ鉄郎です。
前回は素晴らしい回答をありがとうございました!寄り道しながら頑張っていこうという気分になり、少し道が開けた気がします。
就活はやっぱり上手くいってませんが、あれから少し状況は変わりました。
先日、精神科にかかり、うつ病と診断されました。「治る病気だから」と主治医の先生からは念を押されたので、まずは信じて治療に専念します。
それでも一抹の不安を感じるのは、家族の事です。就活中のこともあり、実家で暮らしながら、両親の厄介になっています。将来の見通しが立たないまま、病院通いになってしまった自分が、なんだか申し訳なく思ってしまいます。
また以前から、父はストレス障害の診断を受けていたようです。なので僕の病院通いにより更にストレスをかけるようでは、なんともいたたまれない気持ちになります。
家族のなかでメンタルに問題を抱える者同士が、上手くお互いを尊重しつつ、ストレスフリーに過ごす方法というのが、一つでもあればいいのになぁと思います。
ぜひ、ご意見を頂ければ嬉しいなと思い、またつらつら書き連ねてみました。
道草寄り道の道半ばから、失礼致します。
回答
星野鉄郎さん、掲示板への再投稿ありがとうございました。
うつ病と診断されたのですね。それは本当におつらいことですね。治療を始められて良かったです。
医師が言う通り、うつ病は治る病気です。逆に治らないようならば、別の病気が隠れていたり併発していることが考えられます。今は医師の指示に従い治療に専念し、経過を注意深く見守りたいですね。
うつ病の治療に際して、患者として心がけると良いと思われることをいくつかお伝えします。医師の指導をベースとして、参考がてらお読みください。
なお、文字を読むのがしんどい場合は、休み休み何回かに分けて読むか、お母さまに音読してもらいましょう。
まず、しっかり休養を取ること。うつ病は休養が第一です。食っては寝る。それに徹する。今の鉄郎さんにとっては休養が就職活動であり、仕事そのものです。人生にとって意義ある取り組みですよ。焦らないでくださいね。
読書やテレビでさえも休養を妨げることがありますから、本当にじっくり心と体の両面を休ませることに専念していただきたいです。
第二に、診察に行った時には、なるべく詳しく、前回からの経過を医師にお伝えください。
睡眠時間や睡眠の質、食事の回数や食事の中身、自覚できる症状の変化や様子、その他、気になることは全て伝えて、医師の意見を聞くようにすることをおすすめします。メモをして行くと漏れがありません。診察時間が長引くことを気にしないでください。
処方されたお薬について、うつ病と診断されたなら、抗うつ薬が処方されているかも知れません。
これは効くまでに10日や2週間ほどかかるのですが、それより先によく副作用が現れます。
副作用と思われることも含めて、飲んでみて気づいたことは詳しく医師にお伝えください。
抗うつ薬は、何種類もあり、人によって効き方はまちまちです。副作用以外には、効果を感じられない場合も、必ず正直に医師に伝えてください。処方について検討する上で参考になります。
実は、副作用でしんどくなったり効果を実感できないまま、医師には言いづらくて自らの判断で服薬をやめてしまうかたがいるのですが、これでは薬物治療になりません。
服薬をやめていることを医師に黙ったまま、処方だけは続けてもらい、実際は飲まずに自宅に薬をため込むケースもあるので要注意です。
もしもうつ病ならば、抗うつ薬が救いの命綱になる場合があります。飲んでいれば助かった。しかし、回復したかな?と油断して服薬も忘れている時に、ふと死にたくなって実行してしまう例があります。もういいだろうと、自分の判断で服薬をやめるのは危険です。
さて、うつ病の診断についてなのですが、病院に通い出して間もないならば、まだ確定診断ではないのではないかなと思います。
うつ病診断の決め手となるうつ症状も、他の疾患から来ていることもあります。
精神疾患というのは診断が難しいものです。それゆえ診断名が出されても、これはさしあたり治療を進めていく上での仮説だとわたしは考えています。
治療方針を立てるために診断がいり、診断内容をもとに薬物の処方も吟味されます。
しかし、経過によって診断名が変わり、治療内容も処方も変わることがあるのです。
ですので、一回診断が出れば、後は安心して「ぼくはうつ病だ」ではなく、「ああ、今のところはうつ病だと仮定して治療しているんだな」と考えてみてください。
以上、カンタンにまとめると、うつ病と診断された鉄郎さんのお仕事は、食う寝る薬を飲む、医師には詳しく報告相談です。
続いて、お父さまのことについて、ストレス障害というのは、急性ストレス反応(障害)、あるいはPTSD(心的外傷後ストレス障害)のことでしょうか?
前者と後者は症状の続く期間の違いで分けているようですが、いずれにせよ大変大きなショック、心的外傷があったと予想されます。これは本当にお父さまに合った専門的な治療が必要です。
鉄郎さんが病気のお父さまを思って、いたたまれなくなる気持ちはとてもよくわかります。
しかしお二人ともそれぞれが、専門家による治療が必要な状態だと思います。
家族だけでなんとかしようとするのではなく、ここでは医師などの治療者や支援者の力を借りるという発想も大事です。
なお、あえて申し上げると、もしも同居しているのであれば、お父さまのために特別に何かをしてあげようというのではなく、日常的な思いやりのある態度で接するだけでも充分治療的だと思います。
ここで言う態度とは、具体的な行動ではなく、心の持ち方だけでも良いのです。
専門的な治療は専門家に頼りつつ、本人の自己回復力を信じ、いつもと変わらず温かい気持ちでそばにいる。
そのような態度が、家庭内でのお互いのストレスの感じ方の軽減にもつながると思います。
なお、どんなに気をつけていても、年齢、性別、性格、体質、社会的地位、生き方や考え方などに関係なく、誰でもうつ病になり得ます。
わたしもかつてうつ症状を体験しました。出来ていたことが出来なくなる驚き、自分が自分でなくなるような感覚、強烈な焦りや潰れてしまいそうな不安。ありありと思い出せます。
そんな時、「申し訳ない」と自分を責めてもあまり回復の役には立ちません。ふがいなさややるせなさ、みじめな気持ち。これらは全てうつの症状の一部なんだとわりきりましょう。うつがそう思わせるのです。
うつは、新しい人生へ向かうプロセスだと信じて、きっと治る、もっと素晴らしい自分になれると、自分に言い聞かせ続けましょう。
心理カウンセラー 平史樹