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相談例

「『声』に振り回されていました」

Q「霊感の強い人との出会い以来、自分もよく『聞こえる』ようになってしまいました。

例えば、『声』は、『今からどこどこへ行け』『携帯電話は置いていけ』みたいに命令します。逆らえずに夢中で指定された所まで行くと、今度は『次はどこどこへ行け』と、新たな命令をして来ます。指定の場所にただ行かされるだけで、特に何をしろとは言われません。そういったことが毎日深夜の2時頃にあって、日常のほとんどがその声に振り回されている感じでした。

そのような日々が数年続いていたのですが、ある時から『夫と別れろ』とか『仕事はするな』みたいな、すぐにはできないような命令も来るようになりました。

さすがにそれは『無理です』と断りました。すると、しつこく同じことを何度も言って来るようになりました。

命令に従い続けるのもつらかったのですが、従えない命令に繰り返し責め立てられるつらさは相当なものでした。

それでついに我慢できずに『声』のことを夫に打ち明けました。すると夫は『ばかばかしい!そんなのは無視すればいいんじゃないの?』と言ってくれました。

夫があきれた顔で言うのを聞いて、何だかスーッと気分が軽くなり、『ああ、そうなんだ。それでいいんだ。』と思えるようになりました。夢から醒めるというか、呪文が解ける感じで、胸がしめつけられるような苦しさがやわらぎました。

それ以来ある程度は冷静に『声』のことを考えられるようになったのですが、変わらず聞こえるので、思い切って病院に行ったところ、お薬をもらいました。

お薬を飲むことでノイローゼっぽい感じがだんだん楽になって、今ではお薬も軽いものにしてもらえるようになりました。

『声』も大分減りました。

今にして思うと、『声』は、自分ではない目には見えない存在からと、自分自身の心の奥深いところからの、2種類あったように思います。

自分ではない外から来る『声』は、低級な存在で、自分はそれに振り回されちゃった感じです。今は聞こえても無視することができるようになり、以前のような恐怖や、いてもたってもいられず命令に従ってしまうような気持ちはなくなりました。

今は、もし『声』を聞くにしても、もっと高級な存在からのメッセージを受け取れるようになりたいし、アート関係の仕事も、作品を世に出せるようになりたいです。

私のような霊的に敏感な体質の人間が、現実社会で自立していけるのか不安です。今は夫に頼りきりですが、少しでも家計を助けたいです。そういうのって無理なのでしょうか?」

A 「霊的に敏感な体質であっても、現実社会に適応することは充分可能です。

既にあなたは結婚されていますが、それも社会に適応されているひとつの証拠と言えます。

あまりにも『声』に脅かされて、日常生活に支障を来しているようならば治療も必要だと思いますが、日常生活を送れているのならば、焦らず、無理のないペースで活動の場を広げて行くことは充分出来ます。

『声』について言うと、あなたのおっしゃるように、自分の外から来るものと、内側から湧いて来るものの二通りあるのではないかと、わたしも思っています。

大切なのは『声』が聞こえること以上に、『声』の質や内容ではないでしょうか。

同じ『声』でも、常に自分を励ましたり慰めたり労ってくれる『声』もあれば、あなたが体験したように、支配したり振り回したり責め立てて来る『声』もあるでしょう。

ご自分が不快に感じないようであれば、そのままで良いし、不快に感じるようならば無視することです。

あなたのように医師からお薬を処方して頂いて楽になることもありますが、日常生活を送れるくらいに健康ならば、『声』の存在を忘れるくらい忙しくすることもひとつの方法です。そのために、人生に目的や目標、使命を持つことが大切だと思います。

そういった意味で、あなたがこれからご自身の作品を形にしていこうとすることは、本当に素晴らしいことだと思います。

あなたは『高級な存在からのメッセージ』も受け取れるようになりたいとのことですが、『高級な存在』ならば、耳元で囁くような声でメッセージを伝えることはむしろ稀だと思います。

『高級な存在』ならば、あなたの現実的な努力に見合った分だけ、家族や友人など人からの何気ない言葉やたまたま見たテレビの言葉、本や雑誌の言葉を借りて、あなたにヒントを伝えるような形でメッセージを伝えて来るのではないでしょうか。

『高級な存在』ほど、自然であることを好み、あからさまな干渉やモロなお告げなどは嫌うと思います。

露骨な干渉をすると、人はそればかりを頼って努力を惜しむようになり自立が阻まれます。一見有り難いようでも、何でも教えてくれるような『声』には気を付けないといけないと思います。人間が自分にとって本来出来るはずの努力を怠れば、充分にその人の人生を全うすることは出来ないと思うからです。

今のあなたには目標がありますね。努力を始めれば『高級な存在からのメッセージ』は気づかない形でどんどん内面に蓄積されていると信じて、一層励んでみてはいかがでしょうか。

人として出来る限りの努力を重ね、さらに一層の精進を重ね、さらにひとひねりふたひねり三ひねり工夫をして、五ひねりくらいした時にやってくるインスピレーションを、楽しみに待ちませんか。アーティストであれば、習作を惜しまないことではないかと思います。」

心理カウンセラー 平史樹

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