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人間関係で辞める
正社員であれバイトであれ、仕事を辞める原因のほとんどは人間関係です。
「この仕事、自分に向いていないから辞める」って言いますけど、仕事そのものに原因があることはほとんど聞かない。大概人間関係が絡んでいます。
仕事という作業があって、人間関係はなるべく排除したい、メンドクサイってあると思いますが、仕事の中の「作業」の部分はむしろごくわずかな要素で、仕事の中身はほとんど人間関係です。
ラーメンで言うと「作業」はどんぶりですが、麺もスープもチャーシューも胡椒もレンゲもメンマもネギも箸も「人間関係」です。
人間関係をなるべく避けたくて出社が週一で済むリモートワークが主な会社に勤めたかたもいましたが、数ヶ月で辞められました。二十代のかた。一〜二年くらいのペースで転職しておられました。
転職を支援するサービスは何種類もありますが、就職転職に必要なのは学歴でも資格でもデジタルリテラシーでもなく、人間関係を築き持続させる力だと思います。
この人間関係力は、いわば生きるための基本にして生きることの本質のひとつ、そして基礎体力みたいなものです。
人間関係力がある人は、わたしの相談は無料の十分で終わります。そこが足りない人は、一年、二年かけてこの基礎体力をつけることがあります。月に一回、三十分とか一時間話す内容は、コーチというよりもむしろお父さんやお母さん、兄弟や友だちと雑談する感覚です。
かつてはもっと速く、効率的に就職や転職の支援をしたいと思ったものですが、だめ。人間関係力は体力と同じで、急には身につかないんです。
就活で学生が社会人マナーなんかを学びますが、あれはカタチであってナカミではない。仕事が続かない子は名刺の渡し方ができなくて辞めるんじゃないもん。上司の指示を「いじめ」だと捉えたり、お客様の質問を「こわい」と思ったり、希望した配属先でないと「自分は必要とされていない」と信じてしまったりするの。マナーや社会常識以前の教育のモンダイなの。
本来これは家庭環境の中で十年、二十年かけてじっくり醸成するものです。今の若い世代は、この大事な十年、二十年を、ゲームや携帯で浪費してしまっている。親は子どもが泣くと「どうしたの?」と聞かず、スマホでアンパンマンをパッと見せて黙らせる時代ですよ。こりゃまずいわ。お母さんがお母さんをやめてスマホになってる。子どももかわいそうだが、お母さん父さんも助けなきゃ。
こんな時代に生きる若者たちのスカスカの人間関係力を、じっくり焦らずぼちぼち鍛えるのがわたしの支援です。モットーは、焦らず行く。失敗しても諦めずにどこまでも付き合う。
有名校を出て国家資格も合格して誰もが羨む大企業に就職、半年で辞めた子を、月一くらいのペースで数年かけて支援したことがあります。その後二つ会社の正社員になっては辞めるを繰り返しました。その経験の中で、その子は学歴よりも資格よりも、収入よりも大切なものに気づいて行ったようでした。ほんとうのキャリアって、こういうもんかもね。
成長のプロセスは人によって違いますが、長い目で見てご本人のとって本当の力になる支援をさせていただきたいです。
平史樹