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相談例

「息子が、人を巻き添えにして自分も死ぬと言ってきます」

Q 「夫と二人暮らしの地方在住の主婦です。東京の大学を出てからそのまま東京で就職をした一人暮らしの息子が、一年ほど前からおかしなSNSを送ってくるようになりました。

息子は、かつては進みたかった進路もあったようなのですが、私が反対したせいもあり結局は私の勧める大学に入りました。大学時代は何も問題は無く、就職もスムーズに決まり、今は職場のある東京で一人暮らしをしています。

ところが、就職して何年も経った今頃、息子からのSNSが盛んに私に来るようになりました。

息子はSNSで、『親のせいで自分は夢をむりやり諦めさせられた。』『責任を取ってくれ』と言うのです。

息子に私から『どう責任を取ればいいの?』と返信すると、『それは自分で考えろ』と返ってきます。そしてついに『責任を取れないのなら死ぬ』しかも『他の人を巻き添えにする』とまで言うようになりました。

どう責任を取るのか、息子が指定した返事の期限が迫っているのですが、どう答えて良いのかわかりません。

何より、人を巻き添えにしながら自殺するという話に夫婦で驚き、戸惑っています。

息子は東京、親の私たちはかなり離れた地方なので、簡単に顔を見に会いに行くこともできません。

電話で声を聞き、じっくりと話したいのですが、息子からはSNS以外の連絡を断られています。長電話をして仕事に響かせたくないそうです。SNSもほぼ定期的で、しつこく毎日何通も送ってくるようなこともありません。SNSの文面も淡々とした感じです。

ただ、『死ぬ』という言葉がどうしても気になりご相談しました。どうしたらいいのでしょうか?」

A 「このご相談で曖昧にできない、最も肝心な点は、息子さんが自傷他害に及ぶ可能性のあるケースだということです。自殺をするとか、人を殺すといった訴えは、どんな場合でも聞き流すことはできないサインです。それはご家族はもちろん、カウンセラー一人でも対処しきれる問題ではないので、後半には警察と保健所の支援の受け方を記しました。それに基づいた具体的な対応をお取りください。

息子さんの心の様を慮るカウンセラーとしては、あなたから伺ったお話から、『死にたい』という息子さんのメッセージは、甘えの変化球かな?とも思いました。小さい時には直球で甘えられなかった子が、成人してからトラブルなどを起こして親をわずらわせ、充分にかまってもらおうとする例があります。真剣に関わってほしいからこそ、深刻な問題を提起することがあると思います。いかがでしょうか?

また、親に対して『責任を取れ』とは、息子さんが自分の行動に対して責任を取れていない証拠ではないかと思います。もしかしたら息子さんは今、仕事かプライベートで挫折を味わったり問題を抱えているのかも知れません。それに対して『すべて親が悪いからこうなったのだ』と責任を転嫁している可能性も考えられます。どう思われますか?

甘えであれば、小さな子をあやす抱きしめるような気持ちで接することも必要だと思います。これは長い時間を必要とするかことも知れません。息子さんはもしかしたら『甘えたい』のかも知れないという発想をもって息子さんと向き合ってみてください。お母さん自身に何か気づきがあるかも知れません。

責任転嫁であれば、息子さんが被害者、お母さんが加害者という図式を認めてしまうと、永遠に息子さんに謝り続けても許されず、責められ続けるという成長のないパターンに陥ってしまう可能性もあると思います。わたしでしたら息子さんに、『仕事で嫌なことでもあったの?今何かつらいことがあるの?』と聞いてみたいです。

あなた自身は、息子さんから何を感じますか?

とりあえず今回は差し迫ったこととして、『責任を取れ』と言われ、その期限が迫っているのですよね。だとしたら、確かに本人の夢を受け容れず親の希望通りにさせたのかも知れないが、実際に大学を受験し、卒業まで通い切り、就職をしたのは、親の影響があったにせよ息子さん自身の決断と行動であったことを冷静に振り返り確認し、これまでの大学生活や社会生活を労い、讃えつつ、もし今の仕事に耐えられないのなら、転職したり、改めて学校に入り直しても良いと伝えるのはいかがでしょうか?

あくまで息子さんが、お母さんから無理矢理行きたくない進路に進まされたのだと主張するのなら、その気持ちはそのまま『あなたはそう思っているのね』と息子さんの気持ちに寄り添うように尊重し、しかし今からでも自分の本来進みたかった道を再決断して再出発しても良いと、許しを与えるというわけです。

しかしもしも今後、息子さんと接する中で、自殺しようとしたり、巻き添えに人を傷つけようとする恐れを感じた時、切迫した状況ならば、迷わずすぐに息子さんの住んでいる場所の最寄りの警察署の生活安全課に相談し、息子さんの安否確認をしてもらってください。

また、切迫した状況になくとも、息子さんのお住いの自治体の保健所の精神保健に関する部署に連絡し、相談しておくことを強くおすすめします。その際は『自傷他害の恐れのある家族についての相談』と初めに伝えると、スムーズに担当のかたにつないでもらえると思います。

保健所に相談した上で、必要と認められれば、お母さんと保健所の相談員さんと一緒に息子さんのお住まいに家庭訪問するようなこともできます。その他の対策も、相談の上で講ずることができると思います。

息子さんとは遠方にお住まいということですので、そういった場合、息子さんの近くで事情を知っているかた、必要に応じて法的な判断のもと支援をしてくださるかたの存在があることは、心強いと思います。

自殺をほのめかすような言動がある場合は、絶対に軽くとらえてはいけません。

もしも何らかの精神疾患等が影響して自殺願望や人を傷つける衝動、自傷他害の衝動が生じているのならば、入院の必要もあるかも知れません。それはもはやあなたをはじめご家族が息子さんの命を守り切れる範疇を越えている場合もありますし、ひとりのカウンセラーでは対処し切れないことも多くあります。

ですので、息子さんとのやり取りを続ける上で、今後自傷他害のほのめかしが続くようならば、警察や保健所の支援も借りて命を守るようにする必要があると思います。」

心理カウンセラー 平史樹