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カウンセリング

「ありがとう」の魔法

「何かを失った」というご相談は、「何かを得られない」というご相談と同じくらいあります。

大切な人との別れについてのご相談は、どうしたら良い人と出会えるかというご相談と同じくらいあります。

大切な人を失ったかたのご相談を受ける時には、そのかたのペースで話せることから話して頂きながら、そのかたと悲しみを共にします。悲しみを味わい一緒に感じていきます。

ご相談されるかたが、気持ちを言葉にしたり、泣いて、泣き尽くすと、なんだか不思議な安堵感がやって来ます。その時の安堵感は、わたしにも伝わってきます。

時間を置くと、それでもまた悲しくなったりするものですが、そうしたらまた残っていた思いを言葉に出します。また泣きます。そしてまた、ほっとします。

それを何度か繰り返すうちに、落ち着いて来て、他の感情が芽生える余裕が出てきます。

「感謝」を感じられるようになると、心の中に、幸せな感覚がふわーっと広がります。

「ありがとう」と言えると、悲しみが溶けて行きます。そして、幸福の中に包まれるのです。

頭で無理やり感謝しなきゃとか、ありがとうと言わなきゃと思っても、うまく行きません。

人それぞれ、紆余曲折がありますが、もし感謝が湧けば、悲しみのゴールだなって気がします。

もし感謝が湧かない、そこまでたどり着けないことがあれば、執着のせいかも知れません。

ずっと生きていてほしい。あの人は私のもの、ああして欲しかった、こうしたかった、そんな思いが強いと、その人と出会えたこと、幸せだったこと、全てが奇跡だったこと、そういうことに気づきにくくなるように思います。

ただ、執着も、洗いざらい話して出し切ってしまうと、以外とすっきりするものです。執着自体が悪いというわけではありません。

出会いは、誰にもコントロールできません。同じように、別れも、誰にもコントロールできない。だからこそ、出会いそのものが奇跡であり贈り物なのです。

失うことは、つらい。愛していればいるほどつらい。でも、そのつらさは、素晴らしい出会いだったことの証明でもあります。今までありがとうって言えたら、心の中でそう思えたら、失ったことの何千倍も、出会えたことの素晴らしさに気づけると思います。

平史樹

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