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カウンセリング

うつ症状のSOS?家族や親しい人が「疲れた」を連発したら、お節介しよう!

疲れっぽい、よく眠れない、頭が痛い、肩が凝る・・・

やる気が起きない、仕事や家事が手に付かない、気分が落ち込む、不安で仕方がない・・・

これらはうつ症状ですが、これら全ての症状があっても、本人はただ「疲れている」としか自覚していない場合があります。

中には「疲れている」とも言えず、「はあ・・・ふう・・・」と不機嫌そうな顔をして、ため息ばかりついている人もいます。

うつ症状=うつ病とは限りません。

その他の様々な心の病や体の病にも、うつ症状は表れます。

ただ、こんな症状の時、周囲のかたには是非、敏感に感づいて、積極的にお節介してほしいのです。

お節介、すなわち出しゃばりのようなお世話も、うつ症状には必要だと思います。

本人に自覚がないまま、取り返しのつかないことになることもあるからです。

優しい言葉を掛ける。身の回りのことをちょっと手伝う。話し相手になる。一緒に食事をする。など、ささやかな配慮でも助けになります。

役所の福祉や健康相談の窓口、病院やクリニックなどに電話して、どんなサポートが可能か、どんな検査や治療があるか相談してみる。仕事や家事を手伝う。役所や福祉施設、医療施設などに付き添う。職場や離れている実家などに本人の代わりに電話する。など、一歩踏み込んだ助けが、命綱になることもあります。

激痛で転げまわったり血を吹き出すわけでもないうつ症状は、本人も周囲も進行や深刻性に気づきにくいものです。

しかしうつ症状の先にある病は、命に関わることもあるのです。

ですから、積極的にお節介をしてほしいと思います。

わたしの経験ですが、かつてある友人にうつ症状が出ました。過労でした。残業が多そうでした。

真面目で責任感のあるその友人は、うつ病の可能性があると自分自身で感じ、その事を話題にしながらも、働き続けました。

「仕事は休まなきゃダメ!」とわたしが真剣に言うと、「自分には身寄りもないし、貯えもないから、仕事を休むわけには行かない」と真剣に言い返されました。

友人は派遣社員でした。わがままを言えば「切られる」。そんなプレッシャーがあるのを感じました。

仕事の縁で知り合ったその友人とは、メールアドレスと電話番号を交換しただけで、住所は知りません。

「食料の買い出しやゴミ捨てくらい手伝うよ。そして何よりも病院に行こう。付き添いするから」

友人は家事の手伝いを遠慮し、病院に行くための休暇を取ることもなく、「大丈夫」と繰り返すばかり。

ある日仕事の件で連絡してみると、メールはアドレスが使用されなくなり、電話もコールが鳴るだけで通じません。

急速に症状が進んでしまったようでした。

「しまった!」と思いました。うつ症状の話題が上がった時に、すぐにサポートすべきでした。

本人の「大丈夫」の言葉を真に受けて、助けるのを躊躇していたのがダメでした。

お節介であっても、「おかしいな?」と思った時に、何か手を打つべきでした。

その後、半年に1回くらい、電話を鳴らしてみましたが、返事はありませんでした。

どうか入院など、適切な治療を、受けていて欲しい。

・・・笑顔のまま、砂漠の砂に埋もれて行く。

うつ症状が、知らぬ間にうつ病になって行く。

朝起きても、体が動かなくなっている。

どうしたらいいか、考えることすらできなくなる。

お昼過ぎに、やっとの思いでトイレに行ったり、カップラーメンをお湯も入れずにかじったりしてしのぐ。

電話にも出ない。メールを読む気もしない。

うつに落ちていく様子は、砂に埋もれて沈んで行く石のようです。

家族がいれば異変に気づけます。

独り身のうつが、本当にこわいです。

ですから、どうかみなさん、身近に、慢性的に疲れ果てている人がいたら、家族だろうと恋人や友人だろうと、ご近所さんだろうと、声を掛け、できるお節介をお願いします。

また、本人が治療を拒んだり、会社を休むことを極端に嫌がることもあります。

そんな場合は、あなたが代わりに専門家に相談し、本人に対してどんなサポートが出来るか、アドバイスをもらうという手もあります。

わたしは、うつ病のご本人からのカウンセリングのご相談はあまり受けません。

うつ病になってしまうと、わざわざ見知らぬ人に会って相談しようという意欲や関心、気力も体力もなくなってしまいます。うつ病となれば、電話やメールで予約を入れるということは、かなり困難なことだと思います。

ただ、ご家族や恋人からの、「それ、実はうつかも」と思わせるご相談は多いです。

「息子がひきこもりなんです。甘やかしたのがいけないのでしょうか?」・・・うつ症状でした。

「彼がラインの返事をほとんどくれなくなりました。なかなか既読にもなりません。浮気でしょうか?」・・・うつ症状でした。

「娘がこのごろ無表情です。会社でいじめられているのではと心配です。どうしたら良いですか?」・・・うつ症状でした。

もしもうつ症状だと分かれば、本人にどんなサポートが必要か?身近な人は何が出来るか?これまでの対応の仕方とは違う、専門的で具体的なアドバイスが出来ます。

カウンセリングは、困っている人を助ける人の相談の場でもあります。

成すすべもなく砂に埋もれて行ってしまう人を、一人でも多く減らして行きたいです。

心理カウンセラー 平史樹

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